板塀外壁に使われた塗料

　　　　♪粋な黒塀見越しの松に・・・♪に歌われている黒塀にどんな塗料が使われたのでしょうか

塀や建物の外壁には木材の生地のままでは、100数十年の長い間風雨にさらされても

その時の状況を維持するため、日本古来の塗装伝統技術が使われています。

一般的には濃茶黒色で、渋墨塗りと言います。青い未熟の渋柿をつぶし、絞って柿渋を採取し

発酵・撹拌を繰り返し1〜5年で柿渋の完成です。。

後は松の木を燃やしその煤（油煙、松煙）を採取します（この煤を膠で固めると書道用の墨）。

これらをお酒（アルコール）溶剤とし、塗料が作成されます

　　　柿渋の主成分はタンニンで防腐・防虫効果があり墨で色付けをしています。

　　　木が柿渋を吸い込む力で墨粉を木材内部に引き込むので墨が定着し渋が防腐剤の役目もして目止めと

　　　下地ができます。

松本城は白と黒のコントラストが美しいでしょう。黒く塗られている下見板。漆で上塗りされて

　　　いるのですが、下地は松煙を柿渋に混ぜた渋墨が塗られています。

　　　　塗り方は、右から１回塗りで８回塗ってようやく完成です

　　このほかに、単純な板塀など、杉の板を焦がした焼板を使用することがありました。

　　　　　
　母屋の大木戸付近の柱ですが約160年間風雨にさらされ年輪部分が見事に出ている様子です。
渋墨塗りの効果が絶大なることを示しています。