旧吉田家住宅玄関にある衝立について

衝立、絵そのものは、破れたり汚れたりしていたものを平成ｘｘ年ころ、修復し現在の形になっているものです。
　現在姿は修復後とあまり変わっていません

絵そのもののお話ではなく、中に描かれている山水画についてですが、左下の部分に署名があります。

素川壽信筆と書かれています。

　文政３（1820年）〜明治３３（1900年）江戸時代末期・明治期の表絵師です　この人は、この頭の上に狩野（かのうと読みます
“かりの”といった方がおりました）とつきます、落款の研究家としても有名です、
　先代の叔父さんの名前を引き継いでいます。また江戸初期にも同名の絵師がおります。

ご存知とは思いますが江戸初期から日本の画壇をリードしてきた一派で狩野派と称しています。狩野派も非常に大きな格差社会の組織です

奥絵師

江戸城の奥に月に2日ほど伺候して絵を描く、身分はお目見え以上で奥医師並、あるいは旗本と同格である。
狩野探幽のように200石の所領と屋敷を拝領して帯刀を許され、代々世襲である。狩野4家奥絵師がこれにあたる。

奥絵師クラスだと、江戸幕府の抱え絵師ともなり、外国に贈る日本画や江戸城の襖絵などを書いています、
書院に違い棚があり、その上方に小ふすまがあります。　
この絵を描いたのはで奥絵師で幕府抱え絵師10代目狩野雅信です

表絵師

15家あったそうです、地域ごとに割り振られていたと聞いております

　狩野素川壽信はこの“表絵師”で場所は鳥越神社付近の猿谷町代地呼ばれたところがベースのようです。
　この方かなり名前が売れていたようで“袖玉武鑑”にも名前があります。（袖玉武鑑は別途）

町絵師

どちらかといえばスタッフとして、町人相手として活躍、

その他絵師

町人相手として活躍し格差社会の一部部分を形成しております

、

話しは変わりますが、現在北千住に横山さんという方の地漉紙問屋“松屋”というのがあります。
　現在と少し仕事の様子が変わっていますが、
　浅草で大阪や江戸で一度利用した紙を集め、再度漉きなおして売るリセールの商売をやっていました、
　この方が浅草から北千住に移転するとき浅草の倉庫を整理した際6曲１双の屏風絵が発見されました。
　それが下図の絵です、内容は鶴が21羽描かれております。



（足立郷土博物館　発行“大千住展”説明資料から）　

変わって、衝立の前に立ち、もう一度よくご覧ください、中央部分の描写が鶴のように見えませんか？
　また左上の部分に鶴の後ろ姿と思われるようですがいかがでしょうか？

　　俗に言う隠し絵を意識して描かれたものです、遊び心満点ですね
　　美術品としての価値というよりは骨董品の範疇ではないかと自分的に考えています。